RGBからCMYKへの変換で色が暗くくすんでがっかりしたという経験はありますでしょうか?
これはRGBのデータとインクで印刷するCMYKとで出せる色の範囲が違うので避けられない問題です。
「蛍光マーカー等で描かれたイラストを4色の絵の具だけで同じように描いて下さい」というのと似たようなものです。
いくらうまく色を混ぜて作っても出せない色が多いんじゃないかと思います。
最近のインクジェットプリンタは色域を広げる為に7色8色以上のインクを使っている機種もあり、オフセットでの4色印刷よりも出せる色が多いです。
オフセット印刷でもCMYK4色で出せない色を補う為に特色を使ったり6色7色~の印刷があったりするのですが、特色の指定や使い方は難しいですし6色7色の印刷は料金も高くなってしまいます。
そこでねこのしっぽでは通常のインクよりも色域の広い4色インクでの印刷を始めました。ねこのしっぽのマニュアルにもありますようにRGBの色が全て出せる訳ではありませんが通常のインクより再現できる色が多いです。
以下はちょっと難しい話になります。
・RGBデータ
RGBでの御入稿をおすすめしていますが、使用した色の範囲が広くないと使うメリットが少ないです。
RGBの状態でフォトショップのメニューのビューから色域外警告を選んでみて下さい。
初期設定ですと通常のインクでは出せない色がグレーで表示されると思います。
元のRGBデータ
色域外警告で表示したデータ
つまりグレーの部分が多い程使うメリットがあるデータということにになります。
広域色でも出せない色も多いですが通常のインクよりは色域が広がります。
広域色で印刷してみたけどあまり通常インクの色と変わらなかったという方は元のRGBデータで使用した色が通常のCMYKインクの色域内におさまる部分が多いのかもしれません。通常のCMYKインクでも出せる色域のデータですと通常のインクで刷ってもあまり変わりません。
逆にRGBデータで派手な色を使いすぎると印刷で出ない色が多く、仕上がりのギャップが大きくなります。
元々CMYKのデータをRGBに変換して御入稿されてもあまり意味がないのは上記のような理由からです。
A(CMYKデータ)
↓
B(AをRGBに変換したデータ、見た目の色は元のAとほぼ変わりません)
↓
C(Bを広域色用CMYKに変換したデータ、見た目の色は元のAとほぼ変わらず広域色で印刷するメリットがありません)
BのRGBの状態で色域を広げるような調整をすれば当然効果はあります。
・カラースペース
sRGBよりもAdobeRGBで色を塗った方が色域が広くなります。そのぶん印刷で出せなくなる色も多いですが…。
作業前にフォトショップのカラー設定で作業用スペースを確認しましょう。
設定でプリプレス用日本2を選ぶと日本のオフセット印刷に適した設定になります。
(sRGBでの作業の方がAdobeRGBよりも色域が狭いのでCMYK変換や印刷後の見た目の差は少ないかもしれません。)
出来上がったデータをもう少し派手に調整したい場合は、フォトショップの色相彩度で見た目がおかしくならない範囲で彩度を上げると簡単に派手になります。
RGBのデータに関しては保存時にプロファイルを埋め込んで下さい。プロファイルのないデータはAdobeRGBとして処理しますのでsRGBで作業された場合色が変わってしまいます。sRGBのプロファイルが埋め込んであればsRGBとして作業します。
・CMYKデータでの印刷
CMYKのデータで御入稿されても広域色で印刷することは出来ます。
通常のインクと比べて単純に見た目が明るくなります。
印刷は出来ますが、通常の設定(Japan color等)でCMYKに変換されたデータは広域色で印刷しますと色が変わってしまう場合があります。
通常のインクより発色が鮮やかなので赤が朱色っぽくなったり青が紫っぽくなったりします。
お使いのモニタや照明等の色環境が適正である前提ですが、RGBで御入稿いただく方が色の崩れは少ないです。
意図的に広域色インクのシアン100%やマゼンタ50%で刷りたい場合はねこのしっぽチラシ裏面のカラーサンプルの色を参考にデータを作成してCMYKで御入稿下さい。
・その他
個人的な感想ですがアニメやゲームのような明るい塗りには非常に良いと思います。写真も奇麗に印刷出来ます。
渋めの色の筆で塗ったような絵には向かないかもしれません。
コート系の紙の方がより色域が広がりますが、タント、サーブルでも発色が良く奇麗です。
通常のインクと一番違うのはマゼンタです。明るめの赤、ピンク、紫系の色を使うとより派手に仕上がると思います。
インクの発色が明るい分苦手な色もあります。"真っ赤"な赤を再現したい時は通常のインクでマゼンタ100%イエロー100%を使った方が奇麗な赤が出せます。広域色のマゼンタ100%イエロー100%は少し朱色っぽくなります。
広域色印刷ぜひ一度お試し下さい!